実地指導が来てしまう!

釣りに行きたいな…介護の中の人です。

そろそろ実地指導が来そうなんですよ。いつでも来いやという気持ちではいますが、できれば来てほしくないですよね(笑)という事で、今回は実地指導についてあれこれ書いてみます。但し鵜呑みは厳禁!自治体によっては独自ルールというのがありますので、一番安全なのはやはり地元の実地指導慣れした人の意見です。ネット情報では対応しきれないという事を前提に考えましょう。

 

実地指導の概要

何をしに来るのか?

ざっくり言うと書類チェックです。運営指導、報酬請求指導の2つに大別されますが、運営指導というのはケアプランとサービス計画、サービス実施記録等を基に個別的なケアをプランに則って提供しているか的な云々の確認や虐待・身体拘束についてのチェックがあります。報酬請求指導では広義で請求に必要な書類が揃っているか、その中身に問題は無いかをチェック。また、管理者等から直接話を聞きながらのものとなります。これは居宅とその他在宅事業でかなりウェイト違うとは思いますが、気を付けるポイントは似たようなもんです。

どれくらいのペースで来るのか?

これは各自治体で様々なので一概には言えません。当県では新規事業所は開設から2~3年後、継続事業所は前回指導から5~7年と言われていますが、これだって来ない時もあります。やはり指導対象が重なる年もありますのでスケジュール的に厳しい時もあるのでしょう。決して雑な自治体というわけではないと思っています、そう書いておきます。

監査とは違うのか?

違います。実際の中身や場の空気とかは別として、実地指導っていうのは「詳しい人が現物の書類を使って一緒にチェックをしたり助言をしますよ」というもの。言ってみればコンサルティングに近いスタンスであると言えます。ですので、虐待疑いの場合を除き2~4週間前には〇月〇日の〇時に〇人で伺いますといった通達が書面で送付されます。

しかしながら監査というのは基本的に「ダメな証拠を押さえに来る」と言ってもいいほどのもの。実地指導やヘビーな通報によって「あそこアカンやろ」となった場合に起こるレアイベントなんですね。実地指導には予告がありますが、監査は急に来ます。いつも通り仕事に来て、いつも通り仕事をしているとスーツ軍団が訪問するんですね。その特異な空気を感じた途端に事業所の終わりを感じるため、パートのおばちゃん達がざわざわします。

準備するもの

これも自治体によるかもしれませんが、うちは上記の書面到着後も電話等でのやりとりがあります。その際に、〇〇なケースの方の書類をどれくらい用意しておいてください的な連絡があるんです。よっぽど指導員の人数を動員できる自治体でない限りはこのパターンかなと思います。以下は間違いなく揃えておきたい書類になります。

利用者ファイル

呼び方は事業所で様々でしょうが、いろいろ挟んでるアレです。この中にまとめられている書類はほぼチェック対象となりますが、チェックするファイルそのものがある程度選定されます。利用人数が少数の場合はフルチェックも充分あり得ます。

  • 加算請求対象者(主に初回加算)
  • 新規利用者
  • 改定を挟んだ利用者
  • 2割、3割負担

この辺りを欲しがります。加算請求対象者というのは、処遇改善加算のような常時算定の加算よりも単発で発生する加算が重点的に見られます。訪問介護の初回加算ですと加算請求そのもの、サ責の初回訪問実績があるかのチェックがあるといった具合です。

改定を挟んだ利用者さんの場合は通常の契約書や重説の他に、料金変更に関する通知の記録等が必要となります。ツッコミ回避のため、できれば通知ではなく同意書の形で捺印を貰っておいた方が良いです。

負担割合は本当に注意してください。最近の大手介護ソフトを導入していない、しているけど請求業務には使っていないといった事業所は必ずです。心配ならこれまでの請求も確認してみましょう。2割負担というのは、1割負担の倍ではありません、あくまでも2割負担です。ここを理解していないと利用者請求に1円の誤差が生じる事があります。訪問入浴が説明しやすいのですが、1234単位時に処遇改善加算(Ⅰ)で請求していた場合、1割負担で月8回利用の利用者請求は10,445、2割負担で月4回利用の利用者請求は10,444となります。訪問介護なんか単位多いし大変ですが、不安なようなら一度確認してみましょう。

また、ファイルの中身については

  • ケアプラン
  • 介護保険
  • 担当者会議録(または照会)
  • サービス計画(訪問入浴不要、福祉用具は微妙)
  • モニタリング
  • 実績と一致する提供表

このあたりです。ケアプランは自治体によって何表まで必要かが違い、しかも内容に問題が無ければ記名捺印前のケアプランで良い所もあります。これは評価点です、サービス事業所がわざわざ記名捺印後のケアプランを貰っておく必要性は感じませんので。

担当者会議録は毎回ケアマネにもらう癖をつけましょう、これをサービス側でわざわざ作成するのはただの業務負担でしかありません。ケアマネは必ず作るんだから他の情報と一緒に送付してもらうだけの話です。くれないケアマネには依頼を断るなんとかお願いしましょう。

サービス計画は訪問入浴は制度として求められていません。福祉用具については一応基準があるんですが、作成はともかく更新のタイミングについて名言されておりません。明言されていない以上はこちらで解釈をして、例えば直接介護ではないのだから状態も介護度も利用用具も変わらず、計画書を更新する意義というのはあるのか?という事にもなるんです。おそらくここも自治体ごとに対応は違うでしょう。

実績と一致する提供表というのは、いわゆる差し替えとして送られてくるものです。

加算要件の類

加算を申請する時に必要な書類ってありますよね?常勤換算とか資格証とか研修計画と記録とか…なんだっけもう忘れた。そのあたりもチェック対象になったりします。ここは一度揃えているのであまり不備は出ないと思われがちですが、意外とある模様ですよ。おそらく人員の増減や入れ替えで有資格者が不足になったとかの理由かと思います。わかっててやってる事業所はすごい根性してるなと思いますが。

申請時点ではなく現行のものを提出するわけです。その時になってやれ資格証が無いだの名前が変わったのに申請してないだのがわかるんですね。これは事前に指導員に申告しましょう。また、既に申請していつ頃に届く予定だとかも報告するとなお良いです。ただし嘘はダメですよ、嘘ついてバレると一瞬で監査対象になりますからね。

勤怠書類

基本的に現場レベルのものになります、つまりタイムカードや出勤簿です。

タイムカードや出勤簿の場合、どちらかというと記録との突合に使うとか、人員基準に不備がないか程度のもの。ザルチェックとまでは言いませんが監督署のように業務記録と休憩時間をガチですり合わせるレベルではないため、これを機会にブラック企業がホワイト化すると期待している人には残念でしたとしか言いようがありません。ただし10日連続でタイムカード押していたり、明らかに異常な残業時間で押していたりすると狙われます。国内ブラック企業率トップ3に入るであろう介護業界は定時で一度押させてるから安心ですね、潰れちまえ。

そんなに準備できるわけがない?

もちろんですよ、これを直前に揃えるなんて不可能です。日々やっていかなければいけないんです。まあ書類なんてやる時間が無いとかもありますよね、あるけど無いって言う人も4割はいそうですが(笑)

日々業務への落とし込み

いきなり極論になるわけですが…要するにその都度終わらせておきましょうよって事です。新規のたびに、月末のたびに、更新のたびに必要書類をまとめてしまう癖をつけましょう。あとでまとめようと思うと忘れてしまう事もあるでしょうし、最悪そのまとめが重なって膨大な業務量となり処理しきれなくなってしまうなんて事も…。多少残ってでもその日に済ませれば10分で済むものが、10件溜まると100分になります。

役割分担

これは事業者や他の職員と相談しなければいけない場合が多いでしょうけどやった方がいいです。管理者やサ責じゃなければできない業務なんてのは指折って数えるほどもありません、誰でもいい仕事がほとんど。施設なんかだとケース担当とかつきますよね、あんな感じです。とはいえ在宅でケース担当制は失敗するので単純に業務ごとの分担が望ましいと思います。あとそれを固定しないのも大事ですね、ある程度の期間は決めましょう。

悪い事をしない

一番簡単ですね(笑)普段から不正と思われるような事をしないのが何より重要です。もちろん不正だと思わなかったというのは怠慢です。これ大丈夫なのかな、これおかしいなと気付けるようになりましょう。

ちなみにあるあるなんですが、上司なんかに「これ大丈夫なんですか?」と聞くと「大丈夫!前もそれで問題なかったから!」なんて言われたりしますが信用しないでください。前の実地指導時に漏れただけかもしれませんし、なんなら時間押してそこだけちゃんと見てなかったかもしれない。制度に詳しい人に聞くとか、自治体に確認するようにしましょう。

裏技

これいいのかな…なんかすげえ叩かれそうな気もしますが。利用人数が多い事業所でしかできないんですが、打ち合わせの際にもうこっちから切り出しちゃいましょう。

「新規とか加算のファイルは分けておいた方がいいですか?」

的に。こっちだと大体これで返答が決まってます。

「そうですね、ここ最近の新規と〇〇と〇〇な方のファイルを10件ずつくらいまとめておいてもらえると助かりますね」

これで完了です、提出するファイルをこちらで選定できるという事。良くない言い方になりますが、この提出するファイルさえ完璧であればクリアが楽になるといった具合です。ただし!これでクリアしたからといって雑にはしないでください。本来であれば実地指導のために準備するものではなく、普段からしっかりできているべきものです。ですのでこれをアテにして手抜き癖をつけると、いつか不意打ちをくらって看板がぶっ飛ぶ事になりますよ!

まとめ

まとめる事が特にありませんが(笑)

実地指導は避けて通れません、これは仕方のない事です。なにしろ制度ですし、我々は公務員ではありませんが税金から所得を得ていますからね。実感無いでしょうけど。

なんか予定よりざっくり過ぎたかな…いや、たまには短めの内容も必要ですよね!そういう事にしておいてください。ではまた!