平成30年度介護保険制度改定

だいぶ暖かくなり雪も消えて道路が走りやすくなりましたね。あ、介護の中の人です。

そんな事よりお久しぶりです(笑)たぶん皆さん同じかと思いますが、改定絡みでバタバタしておりました。改定やら監査やら介護事業はいちいち変なイベントが挟まるので困ったものです。

さて、改定そのものは説明要らないですよね?要ります?いやん。

コレ絡みで別に書きたい記事もあるし、サクッと解説していきましょう。

 

平成30年度介護保険改定

全体的にあまり大掛かりではなかった印象ですが、一部サービスはとんでもない対応に追われたりもします。介護報酬は全体的に微増、訪問介護の生活援助と通所リハが減でしたっけ?相変わらず減算関係と各要件はそれなりに変更になっています。

訪問介護はどちらとも言えない改定です。訪問看護、訪問入浴、認知症対応型通所は総じてプラス方向の内容かと思います。逆に総合的にマイナスなのは通所リハ、居宅介護支援、福祉用具でしょうか。次回記事の下準備的な記事ではありますが、一応サービスごとに書いていきます。あまり関わりのない事業は省きますごめんなさい。また、処遇改善加算ⅣとⅤに関しても放置します。もともと無くてもいい加算ですからね。

訪問介護

改定のたびに踊らされる介護保険事業のピエロ的存在です。

プラス面

身体介護においては報酬増となっております。また、生活援助のみ行う事ができる新設資格があります。こちらはメリットが比較的あるもので、まず現行の初任者研修に係る時間と費用の負担をどう思われますか?介護を上から下まで見ている僕でもあんなもの誰が取ってくれるのか本当にわかりません、いたら聖人レベルです。軽い負担で生活援助専門の資格を、というのは個人的には良い動きだと思いますね。しかもこの資格所有者も常勤換算に組み込める模様。地味に助かる事業所もあるのでは?

マイナス面

生活援助は報酬減となっています。また、生活援助の時間数に制限がかかる(すいません具体的な時間数は忘れました)というのもポイントです。それだけの提供時間が必要という根拠を示さなければいけない様です、もっともこれはケアマネの領分になるんでしょうか。同一減算も一応マイナスにしておきますが、僕はこれ介護業界全体の視点で捉えるととんでもなくプラスな内容と考えています。同一減算はもっと強めてもいいくらいです。余談ですがうちの近所の施設併設事業所は同一回避のために訪問介護の事業所を移転しましたよ。もはやコメントする気力も失せるってもんです。

訪問看護

高需要、高報酬、でもなぜか飛躍する事業所が無い不思議なお仕事。法人のせい

プラス面

報酬微増となり、看護体制強化加算(Ⅰ)が新設され、これまで3か月であった実績期間を6か月に延長する事であわただしく届出をしなくて済むようになります。また、ターミナル加算を5名以上取っていれば加算(Ⅰ)を取ることができ、これがまさかの600単位となっております。訪問看護事業所は今後更に需要というか役割が増やされる増えてくる部分と思われるので、今回の報酬増と加算を活用して積極的に人材の確保と育成をしてほしいものです。

更に!複数名訪問加算(Ⅱ)が加わり、この場合は看護補助者が同行する形となります。あまり活用されないかもしれませんが、人手不足で複数名訪問ができないといった事業所にとっては光明となり得るかもしれません。

マイナス面

特になくてですね(笑)まあ同一減算は一部事業所にとって痛いかもしれませんが、同一に頼らない公平公正な経営を心掛ける機会とでも思ってください。

訪問入浴

介護保険に放置されすぎてたまに改定があると本気でビビります

プラス面

報酬増、16単位は数字で見ると大きいですが訪問入浴は提供数が大きくならないので…とはいえ月100件ほどの事業所でも16000円/月の増収と考えれば小さいとも言えませんね。なんて真面目に書いてはみたものの、要は前の単位に戻っただけという。うちは開設時点で1234単位だったので単純に増収と考える事ができます、ひゃっほい。

マイナス面

無いです。プラス面も少ないですがマイナスに至ってはありません。まあ上様から見れば風呂に入れるだけでしょ?って所なんでしょう。実際突き詰めるとその通りなんだから何も言えない。訪問入浴の現場で働いている人には本当に申し訳ない言い方になりますが、風呂に入れるだけなんです。僕もたまに入浴の現場に出ますが、湯温や入浴時間など利用者さんの好みや状態に合わせて微妙に変わるものは確かにあります。ところがこれを介護的な視点にした場合、それって特に介護ではないんです。人間が生きていくのに最低限必要な事ではありませんし、この放置感は仕方ない部分なのでしょう。

だからほら、計画書要らないでしょ?作ってる所の方が多いでしょう、うちも作ってます。でも制度では求められてないんです。そのうち介護保険の枠から出されて自治体が独自になんちゃらとなりそうなスリルのあるサービスですね。

認知症対応型

まさかの優しい改定にびっくり!現場はご愁傷さまです。

プラス面

生活機能向上連携加算の新設、働く人は大変ですが。個人的に今回最大と思っているのは、運営推進会議の開催方法緩和。これまで複数事業者の同時開催は認められておりませんでしたが、これが一定条件下で同時開催が可能になります。前から思っていたんですがこれものすごい無駄な経費なんです。中身は必要ですよ、経費が無駄って意味ですからね。単純に現金が出ていく事だけが経費なのではありません。見えない経費とでも言いましょうか、この運営推進会議の開催そのものに経費が動いていなくてもそこに集まる人たちは別に休みでヒマだから来ているわけではありません。こんなものを個別に年二回もやっていたわけです、呼ぶ方も呼ばれる方もやってられませんよ。

マイナス面

基本報酬算定に係る時間に区分ができます。旧7~9時間は新7~8時間に単位が引き継がれ、新たに8~9時間の枠ができます。これはプラスという声の方が多いかもしれませんが、僕はマイナスかなと思います。高い報酬欲しくてわざわざ1時間長い方に無理やり持ってく事業所ありますよ、アリなの?いや無しでしょ。こういう手法での増収はどうかと思いますが…とまあボヤいても仕方ありません。この1時間での区切りを適正に扱い個別ケアの一環とする事業所ばかりである事を願うしかありません。

通所リハ

マイナス改定の花形。今回も魅せてくれます、もはや貫禄すら感じるレベル。

プラス面

リハビリマネジメント加算ⅠとⅢ(旧Ⅱ)が100単位増(!)となります。意味がわかりませんが。更に新設のⅡについては、医師ではなく一定の資格所有者でOKという謎の優しさが添えられています。ちなみに6か月以内であれば1120単位と驚異の加算単位を誇る通所リハの救世主、リハビリマネジメント加算Ⅲ。こちらも医師と利用者さんまたはご家族の日程調整の観点から、テレビ電話等もOKというバファリンクラスの優しさ。でも大丈夫、ちゃんとオチもあります。

マイナス面

リハビリマネジメント加算Ⅳという最強兵器が投入されます。1220単位(⁉)という最強の名に相応しい単位数となりますが、もちろん現場は飢えます(笑)業務負担が更に増え、おたくの主任は今以上に机に座りっぱなしになりますよ。つまり、今でもカツカツなリハビリ提供が壊滅的に激務になるという事。そこまでして3月に1度が限度とされるので、意識高い系かオカネスキーな経営者しか手は出さないと思いますけどね。職員も資産と考える有能な経営者であればこんなのに手は出しません。

一番大事な基本報酬は時間区分のせいでわかりにくいですが、据え置き以上は存在しません。つまり何をどうしようが基本報酬は据え置き~マイナス。主にマイナスなんですけども。

このほかに提供体制加算や予防の加算強化があり、単純な単位の増減で言えば通所リハも増収となるのかもしれません。しかしそれに対する業務負担増、職員の疲弊を考えると完全にマイナス改定と言っていいレベルかと思います。このままだと介護の本当の人手不足は通所リハから始まりますよね。

居宅介護支援

何かあるごとに仕事を増やされるイジられキャラは、今回も存在感を放っています。

プラス面

介護報酬増ですが、一人当たりのケース数を考慮すると微増。利用者負担導入はよ。入院時情報提供加算の要件が緩和になるのが大きいです。加算Ⅰについて病院を訪問する必要があったのですが、今回から提供方法は問わないと変更になっています。ただし入院後7日以内→3日以内となるので注意。

また、退所加算が大幅に増となります。これは評価点といえます、退院や退所によるケアプラン作成の手間は確かに考慮するべき。新設のターミナルケアマネジメント加算については言及しません、僕が言うと過激になる。良いとも悪いとも思う、とだけ言っておきます。

更に、公平中立なケアマネジメントの確保というのは制度趣旨を考えると当然プラスです。超絶マイナスな事業所も多い事でしょうけど。内容としては複数事業所の提案やら何やらありますが、本来これが当然。一人ケアマネが評価されていた理由がこれなんですが、併設あると結局誰もやらないもんだから強制されちゃったんですね。まあ自業自得ということで。

マイナス面

管理者要件に主任ケアマネジャーが加わります、かつてないレベルの大改悪。これ順序が違うんです、主任ケアマネ持ってるから何なのか。質の高いケアマネを作ろう→主任ケアマネのカリキュラム充実→主任ケアマネを管理者に、これがジャスティス。今やっている事は逆で、管理者を主任ケアマネにしよう→主任ケアマネいるよ→質が低い!もっと質を高くしないと!これ。完全に思い付きで動いて手詰まりしたパターンです。いかん、これ長くなるから別記事にします。

ちなみになんですが、プラス面がそこそこのボリュームなのに上記の主任ケアマネの件だけでマイナス改定となります。主任ケアマネのカリキュラムは本当に異常です、長いだけ。ケアマネの質を高めるって言うのなら、もっと具体的に。ケアマネの質は6割本人、4割自治体が悪いんです。そこから是正していかないと。

福祉用具

まさかの(個人的に)超絶マイナス改定!もう看板おろしたい!

プラス面

無いです(笑)いや厳密にはあるんですが事業所というか業界全体にとってのプラスですね。皆さん福祉用具の貸与価格について考えた事ありますか?あれ今まで明確な規定が無かったんです。そこで今回から、福祉用具の提案時に平均価格の記載や類似商品も併せて紹介した記録が必要になりました。これに関して調べていたところ、群馬県の一部自治体でデータを公表していたんですね。そこから勝手に一部紹介しましょう。

よくある車いすって言えばイメージつくでしょうか、チェック柄の自走式車いす。ただの車いすって言葉がぴったりなアレですね。あの車いす、全国で一番メジャーなのは300単位です。ところが!全国最低単位はお財布に優しい100単位、全国最高単位はエアマットも逃げ出すであろう2500単位です!なんだこれ!

離島だったり止むを得ない理由で貸与価格が上がるのは仕方ないと思いますが、これはやりすぎ。こういった暴力的な儲けを無くすため、全国平均を基準に一定の上限額を設定する模様です。いいぞ、もっとやれ

マイナス面

プラス面で提案時に平均価格の記載や類似商品も併せて紹介した記録が必要になりましたと書きましたが、これ。これがマイナス。またか、また紙が増えるのか。価格帯や機能が近いものを同時に紹介して、あくまでも利用者さんに選んでもらうのが目的なのでしょう。いや、いい事なんですよ。でも普通やってますよこんなの、普通は。それをしない普通じゃない事業所に合わせて、普通の事業所にまでそんな証拠残せみたいな仕事を増やすのやめて頂きたい。

福祉用具って大別すると2種類あって、一つは流通・在庫・清掃・レンタルまで完全自社運営のタイプ。もう一つは委託みたいな形で自社運営のところに発注するタイプ。後者は借りた料金と貸した料金の差額しか利益化しないのでほぼ儲けというのは無いんですが、地域の需要と供給のために止むを得ず運営しているパターンもあります。書類地獄が特に厳しいのは後者なんです、職員は兼務のケースが多いので。販売はせず貸与だけなら楽かもしれないけど、そうも行かないですし。あ、ダメだ愚痴しか出てこない(笑)

まとめ

まとまるわけないですが(笑)今回の改定はだいたいこんな感じになっております。本当はサービスごとに掘り下げたい気持ちもあるのですが、他にもっと大事な事があるのでざっくりにさせて頂きました。次回記事はあまり日を空けず更新したいと思います。みんな大好きな監査についてです。それでは!