介護報酬改定目前!デイの機能訓練が危険?

バレンタインデーが嫌いな介護の中の人です。

いや語弊があるかも。バレンタインデー自体は素晴らしいイベントだと思うんです。ただ昨今のビジネス色の強い状況が気に入らないと言いますか…まず義理チョコは迷惑なんで廃止法案でも出して欲しいです。友チョコは勝手にやっててください(笑)

とまあ今日はバレンタインデーなわけですが、そんな事はどうでもいい。もっと危ない介護報酬改定が迫っているのですから、チョコだの何だのと言っていられないのが我々の業界ですね。今回はまたしてもマイナス確定なデイサービスについて触れていきましょう。ちょっと時間なくてほぼ下書きのままです、いつも以上に読みにくいとは思いますが生温かい目で見てやってください。

介護報酬改定とは

基本報酬や加算について、国のお金や事業所の状況を勘案し介護報酬を調整するものです。限りなく簡単な言葉で言うと国が「儲けすぎ」と判断すればマイナスになり、逆に「ちょっと足りないのかな」と判断すればプラスになります。実際にはそこまで単純なものであるはずはないのですが、お上がそう言ってしまうのだから仕方がない。

今回(平成30年度改定)を例に挙げると、訪問介護通所介護に関しては「収支率が高いから減額」と言ってしまっているんですよね。なぜこんな言い方をするのでしょう?事業経営が収支率のみで成立しているわけではない事くらい現場レベルでもわかる事なんですが、なぜかこれ一辺倒です。実際のところ主目的は別にあり、こう言っとけばいいだろうといった思惑を感じてしまいます。

平成30年度報酬改定

基本的には0.5%前後のプラス改定となります。その中で訪問介護の生活部分、通所介護については上記の通りマイナス改定が宣告されております。どちらも細かい単位については専門家の記事をご覧ください、うちそういうお店じゃないんで(笑)

基本報酬減額に伴い、ここのところお約束と化してきた加算強化が講じられます。基本報酬よりもこっちのが問題だと思うのですが…後述します。

ちなみになんですが今回の記事で訪問介護については触れません。特段問題ではないと思っております。こう言っては何ですが、生活援助の無駄遣いは確かに問題だと感じます。もちろんここを読んでくれている皆さんは本当に必要なサービスしか提供していないと思いますが、世間はそればかりではありません。介護保険を使うまでもないようなサービスを提供し、利を得ている事業所というのは存在します。生活援助をいくらこなしても利にはならないじゃないか!と思った方には無縁の話です、ぜひその清い心のまま業務に励んでいってください。

デイについては僕も現場勤務程度しか経験がありません、逆に言うと現場での問題ならわかります。この報酬改定がまた現場を地獄に叩き落す事は容易に想像できますので、そっち絡みで書いていく事にしましょう。

基本報酬改定の善と悪

基本報酬を引き上げると

基本報酬をむやみに上げるのは望ましい事ではありません。報酬増が介護職員の処遇を直接引き上げるのであればいいのですが、多くの事業所はその努力をしません。しないから処遇改善加算が創設されたんです。あんなものは国の指示などなくても事業所の努力でするのが正しいのですが…

それからここ数年、毎年多くの介護事業所が倒産という一つのゴールに辿り着いています。これらはどんなに理由をつけても、行きつく先はほぼ経営難です。報酬がもう少し高ければ倒産件数も減るかもしれません、でもそれっていい事なんでしょうか?

この流れを弱者の淘汰と呼ぶから反発が上がるんですが、もう少し違う角度で考えてみて下さい。ニーズがあり、質の高いサービスを提供し、スタッフも充実している…こんな事業所が潰れるでしょうか?逆に言うとニーズが無く、サービスは低質、スタッフは素人レベル、こんな事業所に価値はありますか?自分ならそこに頼みますか?言ってしまえば「不要な事業所」が自然な流れで消えゆくのです、これはもはや摂理に等しい現象ではないでしょうか。この状態を不公平だ何だと騒ぐようでは倒産して然りですよね。

基本報酬を引き下げると

では減額すればいいのかというと、簡単に下げるわけにもいきません。これはあくまでもバランスです。財源の問題があるので下げられるなら下げたいという思いはあるかもしれませんが、ただ減額のみを推し進めるともちろん弊害が出てきます。見える部分では業務で使用する設備や備品の維持管理もないがしろにされる恐れがありますよね。他産業では設備や備品は壊れる前に何らかの対処をするのが当然であり、それをしない会社はいわゆるブラックの可能性があります。ところが介護事業所というのは業種の割に備品面での危機管理能力に欠ける面があり、壊れてから騒ぐというのが慢性化している場合が多いです。人的にも、物的にも質の低下が懸念されるわけです。

また、介護職員の処遇が今以上に放置されてしまう。上にも書きましたが、多くの介護事業所が処遇の改善に消極的であった事は一連の処遇改善加算が継続できているという事実が証明しております。この処遇改善加算などという物騒なモノが不要になった時が、おそらく介護報酬安定の時期かと思われます。そんな時期は来ないのですけど。

加算改定の善と悪

加算改定の狙いとメリット

今回はデイの話題がメインとなるので、そちらに集中していきます。デイ関係の加算と言えば、個別機能訓練が最たるものではないでしょうか?この加算創設の目的としては介護度の軽度化による将来的な介護報酬の減少、機能訓練を積極的に行い実績もある事業所への手厚い評価の2点が主なものでしょう。どちらも理にかなったものですし、理想的な理由付けではあります。逆の理由もあるかもしれません。機能訓練という言葉で釣っているものの、実際には大した訓練を行っていないデイを淘汰するといった感じの。これも理由としては正しいですね。

実際にこれらの加算によってリハビリ資格者の配置整備や実際の機能訓練の内容などが改善された事業所もあることでしょう。大きく言ってしまえば雇用の創設に繋がった部分だってあるかもしれません。

加算改定のデメリット

ところが現実は本末転倒としか言えない状況が本当に多いです。最近の流行り(?)では機能訓練や介護度が軽く(要介護3⇒2のような)なった場合に加算が取れるとかいったものが目立ちますが、いくら報酬改定擁護派の僕でもお粗末と言わざるを得ないでしょう。

実際いい事は言っているんです、そして理想論的には正しい。しかしながら、現場や本人に係る無理は度外視しています。ちゃんとしてると胸を張って言えるであろう事業所のなんと少ない事か。本来この機能訓練等の項目は、リハビリを謳っている事業所であれば努力して当然のもの。その当然の努力をしない事業所がある、もしくは頑張っている事業所を評価するための加算となります。しかし現状を見ていると、どうにも「加算を取るための機能訓練」となってしまっている。これは特に大規模デイの現場の方であれば非常に強く実感されている事と思います。

悪影響の具体例

プランの正当性が怪しい

この加算を取るために、効果が見込めようが見込めなかろうが機能訓練をプランニングします。軽度者であれば日常生活+αの動作で多少の効果はあるでしょうし、中には機械をかければ良くなったと思う利用者さんだっていますよね。効果ありならば継続、効果なしならば見直せばまだいい方ですが長期で効果をうんたらかんたらと継続してたりします。

僕が問題だと思っているのはこのプランの中身の細かい所ではないんです、それは作成者の質に左右されるのでどうにもならないでしょう。とにかく組む、とにかく増やす、このようにプランを組むこと自体が目的となってしまうのがアカンのです。また、その量だって妥当である必要があります。特に改善と関りが無いのに本人の要求だからと不要な電気やリハメニューが組まれるのはよくある光景ですよね。

終わらない現場

その結果現場では特養クラスもビックリな業務過多が発生します。しかもこの現場が必死でメニューをこなしてバタバタしている中、無能な管理者は自分のナルシズムで作成したプランのモニタリングに追われデスクから離れない。こういう種類の管理者は本当に向いてません、どうせスタッフの休み希望には渋い顔しながら自分は平気で休むような人でしょう。僕に言わせればろくに現場に出もしないでどうやってモニタリングをしているのか甚だ疑問です。監視カメラでも付けているんでしょうか?付けてるならちゃんとその旨を掲示してくださいね、田代盗撮は犯罪です。

それからこの部分で更に問題なのは、正しくメニューがこなされない可能性がある点。15分のメニューを10分に短縮したり、なんならやってないのにチェック入れたりなんて事も起こり得ます。このあたりはいくら綺麗事を並べても必ずあると思って対応するべきです。人間である以上、手を抜きたくなるのは当然なのです。

そして人員不足

お約束です。業務がしんどい、勤務時間はほとんどメニューをこなしているから記録をしているといつも残業になる、しかもサービス。これでもチームがいいと人間頑張れるもんなんですが、ここで破綻するのに一役買うのが人の補充もできないダメ事業所、スタッフのフォローもできないダメ管理者、仕事できないけど文句と定時上がりだけ優秀なダメスタッフのどれか。どの人も自覚が無いのでどうにもなりません、現場で頑張っている皆さんは自分たちの力で変えていくしかないんです。事業所とスタッフは難しいですが管理者に気付かせるか蹴落とすかなら案外楽なものですよ。

おまとめ

今回の基本報酬についての増減はあまり意見は致しません。これが良いのか悪いのかはまだわかりませんからね、ただ一言だけ言及するとしたら基本報酬で増額しなくても良かったんじゃないですかといった所でしょうか。処遇改善に回してあげればいいのに。

ただし加算、これは今以上に加熱させるべきではないものと感じます。上で書いた問題点というのはほぼ加算が存在するせいですからね。機能訓練の取り組みに積極的な事業所に評価をとか確かにいい事ではありますが、我々の評価は利用者さんをはじめとした地域がして下さっています。良い評価を頂けていれば、次のサービスを依頼して頂けます。結果として必要な利益は上がるわけですので、評価ってのはそれで充分なんですけどねぇ。

今後加算を取るのであればもっとチェックの目を厳しくするべきでしょう。とはいえ役人様はやめて下さい、余計に経費かかるだけですので。例えばプラン作成やモニタリングの際に必ず外部を入れる、そういった取り組みをして初めて加算Ⅰとなり、内部のみで完結しているのであれば加算Ⅱにするだとかですね。まあこれやってもどうせ抜けてくるでしょうけど。

せっかく介護と医療の連携とか騒いでるんですからいっそ病院に介入してもらうとか面白いんですけどね。仕事増えるとか騒ぐから無理か、介護業界の成長はまだまだ遠いものです。